2013 年に行われたレクサスデザインアワードの「motion」をテーマにした建築インスタレーションコンペ案として提案した。
やわらかく弾性のある透明なシリコンの塊に、様々なサイズの木の角材を混ぜ、同時にステンレススティールのケーブルを内部にとおしてしめ固めていくことで、巨大なシリコンの塊をゆっくりと持ち上げ、ぎりぎりの均衡で盛りあがった形状にシリコンを留める。
不純物としての木材が混入することでシリコンの塊をわずかに硬くし、またケーブルにより内部から引っ張られたシリコンの「むくり」が少しずつ連続することで、シリコンそのものがむっくりと起き上がったような不安定に見える大きな曲面が均衡を保つよう計画した。
シリコンの鋳型の製作には5 軸のCNC 研削機を用い、シリコンに与えられた繊細な曲率を切り出し、木材の3 次元的な位置関係についても、固定ワイヤーの取り付け位置をすべて工作機械により位置出しすることで一定の精度を担保することを考えた。
シリコンに埋め込まれた木材はところどころ表面に現れ、ベンチになったり、机になったり、棚になったりし、インスタレーション会場に訪れた人が寄り添って時間を過ごすことができるよう考えた。
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where water springs: いずみがわくところ / コンペ案、 2012 © 木内俊克
協力: 佐藤淳構造設計事務所、信越ゴム株式会社