whenever wherever festival 2015



「フェスティバルそれ自体が創作のプロセスで、アーティスト同士が結ぶネットワークとして成り立つこと」を目指し、「舞台表現に限定されない身体芸術をめぐる環境にはたらきかけ、研究者などを含む多数の実践者との対話・協働の場」として機能するwhenever wherever festival 2015の為の空間美術を設計した。
「創作プロセスや先鋭性を重視した」このフェスには、領域横断的なコンテンポラリーダンスからレクチャーまで、様々なアーティストによる圧倒的に多様なプログラムから構成されており、空間への関わりを介してプログラムとプログラムの関係が浮かび上がってくるようなデザインが求められた。

既存のスタジオ空間を変容させ、パフォーマンスが広がり、プログラムごとに様々に塗り替えられる水平方向の空間と、プログラムが変わっても変容しない、但しその意味はパフォーマンス空間との関係の中で多様に読み替えられていくような「上」の空間を生み出す仕掛けとして、雑多な素材を結界のように張り巡らせた面を挿入した。

1900*210*35mmの足場板10枚、1200*300*15mmの集成材3枚、1200*300*11mmのOSB材3枚、1350*150*5.5mm、1800*450*5.5mmのラワン合板5枚、4枚、1170*270*2mmのPVC板3枚、1350*150*10mm、1170*270*10mm、1800*450*10mmのフェルト7枚、2枚、4枚、各種角材16本、銅パイプ9本、計66ピースの部材を2mmのステンレスワイヤーロープでつなぎ合わせバランスさせる為、物理演算を用いたシミュレーションによる部材配置/寸法決定と非線形構造解析による応力/変形分布の把握を行った。

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―わずか1センチたりとも場所を移動しない
―「この世に存在しない場所」
―光の記憶をたどる場所
―世界軸が貫通しており、一種のメモリーバンク(記憶装置)として機能する
―母胎回帰願望と結びつく
―夢見の場所
―感覚の再編成が行われる
植島啓司氏が分析した「聖地」の特質だ。
そんな作用がはたらく場を一瞬だけ、パフォーマンスとシンクロするほんの瞬間だけ、出現させることを試みたい。素材の海を空間の真ん中に張り込む。空間は上下に分割される。「上」の空間が出現する。

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“whenever wherever festival 2015″ /東京, 2015 © 木内建築計画事務所 + 山本大志
協力: 丸山航、坂本陽太郎、砂山太一 用途: コンテンポラリーダンスの為の空間美術 構造: 福島佳浩
※1枚目:© Body Arts Laboratory、11枚目:© 山崎広太