Once In A BlueMoon


「CURATE THE CITY」をコンセプトに掲げ、「オープンエアドーム型の共用スペースを中心に、個性あふれる料理やお酒を提供する『フードカート』や『カフェ』、新しい働き方の可能性を追求する『シェアオフィス』、ユニークな講義を展開する学びの場『自由大学』が集まった、これまでにない新しいコミュニティ型の空間」(commune246.comより引用)としてオープンしたCommune246。閑静な住宅街と共存し、ファッション、美術、骨董、文化の街として成熟してきた南青山に残された未利用地に、2年間限定のプログラムとして立ち上げられた。
Once In A BlueMoonは、Commune246の一部として、クラフトビールを中心に季節毎に多彩な料理を提供する「Seasons Stand by BLUEMOON」のフードカートとしてデザインされた。

一つの施設として完結せず、あくまで施設を構成する一つひとつの小さな要素(ネオンのサイン兼照明、バー、デッキ、厨房、食器、メニュー、飾り付け、植物、、、)が直接に街の風景に開いていること、バラバラで自由で活きいきとした断片がそれぞれの輝きを放ちながら、なおその連なりが一つの風景として人々を暖かく包み込んでいること。冬の寒い日、通りすがりの誰かの家の窓から見えるクリスマスツリーに、名前も知らない誰かの幸せをふと思うような、そんな読み人知らずの暖かい風景がそこかしこに溢れていること。そうしたことを目指して設計を行った。

鉄の骨組みと木の建具・家具で構成されたバーの上に据え付けられたネオンは、照明として機能しながら、Communeの敷地内のある地点からだけ、BLUEMOONビールの名前の由来となった、「青い満月」(英語で「とても珍しいこと」の意)に見えるようデザインされている。

—–以下、Commune246パンフレット掲載のコンセプト文
街の「血液」が人のにぎわいとすると、「心臓=血液のポンプ」は風景の持つ「装飾」の力だ(ロバート・ヴェンチューリの「あひる」と「装飾された小屋」)。街が「血液」を送り続ける為には、脈打つ「装飾」が網のように張りめぐらされていく必要がある。生き生きとした街の断片であり、埋め込まれた青い月景色であり、何にでもマッチするソウルフードのような「装飾」装置としてのフードカート。風景の中で繰り返し像を結んでは消え、また像を結ぶ、運動としての「装飾」状態が装置の仕掛けとなる。

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“Once In A BlueMoon” /東京都港区、日本、2014 © 木内俊克 / 木内俊克建築計画事務所 + 砂山太一 / 東京藝術大学
用途: フードカート
テナント: Seasons Stand by BLUEMOON
施工: DoubleBox、ペッツ(ネオン)、ANAP(ネオン支持構造)、飛行船ネットワーク(PVC庇、垂壁)
構造: 佐藤淳
協力: 小熊祥平、二宮颯佑、大橋麻未(東京理科大学)、中山和典(東京藝術大学)